大会担当理事よりのお知らせ
第32回英米文化学会大会要項					

英米文化学会 第32回大会 平成26年9月13日(土)・14日(日) Zen Holdings 伊豆山研修センター (旧 資生堂研修所) 〒412-0002 静岡県熱海市伊豆山1065-1 電話・FAX: 0557-80-5018 伊豆山研修センターの地図はこちらです。地図には旧名の資生堂伊豆研修所と表示されます。
<宿泊> 伊豆山研修センターのご宿泊をご希望される場合、別ファイルをご参照ください。
第1日目 9月13日(土) 受付開始  <13:00> 開会の辞 <13:30 - 13:40> 英米文化学会会長 小野 昌 (城西大学) 研究発表 <13:40 - 15:50> 1. 13:40 - 14:10 エドモンド・クラレンス・ステッドマンのヴィクトリア朝らしい詩について 発表者 横溝 祐介 (大東文化大学大学院) 司会者 蒔田 裕美 (法政大学) 2. 14:10 - 14:40 英語のカタカナ発音はどこまで通じるのか −多民族国家マレーシアにおける調査結果について− 発表者 中山 誠一 (実践女子大学) Tan Seoh Koon (城西大学) Pek Hoo Chun (ラーマン大学) 司会者 佐藤 由美  (常葉大学)    休憩 <14:40 - 14:50> 3. 14:50 - 15:20 Evolution of Identity of Certain Characters in Henry James’s The American 発表者 Ravi Maharjan(大東文化大学大学院) 司会者 永田 喜文  (明星大学) 4. 15:20 - 15:50 マーガレット・アトウッドの『寝盗る女』における「共鳴」 発表者 塚田 英博  (日本大学) 司会者 間山 伸  (埼玉医科大学) 休憩 <15:50−16:00> 特別講演 <16:00 - 17:30> 「オバマとアメリカ」 土田宏 (城西国際大学教授) 懇親会 <18:00 - 20:00> Zen Holdings 伊豆山研修センター内 レストランにて 第2日目 9月14日(日) 受付開始  <9:00> 1. 9:20- 9:50 トクピジンのbelとlewaに見られる意味の棲み分け ―英語との言語接触による意味の拡張性― 発表者 黒澤 毅  (立教大学) 司会者 大東 真理 (拓殖大学) 2. 9:50 - 10:20 国際言語としての英語(EIL):日本人学習者の外国語学習動機づけと自信の視点から 発表者 飯村 文香 (茨城大学) 司会者 菅野 智城 (法政大学) 休憩 <10:20−10:30> 3. 10:30 - 11:00 Humourの意味変化について -- ベン・ジョンソンを中心に -- 発表者 石川 英司 (日本大学) 司会者 河内 裕二 (明星大学) 4. 11:00 - 11:30 看護師のナラティブ能力教育における英語文学作品の活用 発表者 佐野 潤一郎 (創価大学) 佐野 敬子 (甲南女子大学大学院) 司会者 田嶋 倫雄  (日本大学) 英米文化学会第32大会抄録 エドモンド・クラレンス・ステッドマンのヴィクトリア朝らしい詩について 横溝 祐介(大東文化大学大学院)  英国が大いに発展したといえる19世紀のヴィクトリア朝時代では、社会規範への意識が 詩の分野にも高まり、詩人たちは時代にふさわしい詩を模索したといえる。 中でもエドモンド・クラレンス・ステッドマン(Edmund Clarence Stedman)による Victorian Poetsはヴィクトリア朝の詩の特徴を記述している。 その中でステッドマンはヴィクトリア朝時代の詩の特徴を前半と後半に分けている。 そして後半の特徴は、自然に対する解釈や本質的な真理についての創作に向けられたもの というよりは、当時の目紛るしく変化する文化そのものや、詩の内容や技法の複雑化に 関係しているものであると述べている。本発表では、ステッドマンがどのような言葉で ヴィクトリア朝の詩および詩人について語ったのかを考察し、さらに同時代の詩人が 抱えていた、創作と当時の時代性の間にあるジレンマについて論じる。 --------------------------------------------------- 英語のカタカナ発音はどこまで通じるのか −多民族国家マレーシアにおける調査結果に基づいて− 中山誠一(実践女子大学) Tan Seoh Koon(城西大学) Pek Hoo Chun(ラーマン大学)   英語母語話者をモデルとする日本の英語教育現場では、英語を日本語の音韻体系に 置き換えて発音するカタカナ発音がかなり以前から問題視されている。その一方で、 マレーシアでは独自の英語の習得が奨励され、教室内では特有のイントネーションや 発音で録音された英語音声教材が使用されている。このようなコミュニティー独自の英語を スタンダードとした英語教育が活発になっている事例をみると、カタカナ発音を一概に 否定する必要があるのかという疑問が生じる。そこで本研究では、カタカナ発音の英語は、 どの程度非母語話者に理解されるのかを検討した。具体的には、日本人大学生により カタカナ発音で録音された音声材料(300語からなる中学校3年生レベルの説明文)について、 68名のマレーシア人にシャドーイングを求めた。その結果、復唱量は平均で約44% であることがわかった。発表ではこの結果がどのような意味を持つのかについて より詳細な考察を行う。 ---------------------------------------------------- Evolution of Identity of Christopher Newman in Henry James's The American Ravi Mahajran (大東文化大学大学院) Henry James's major works deal with the issues of cultural conflict between Europe and America. He was very much influenced by the thoughts and feelings of being an American in Europe. In the novel The American (1877) too, James portrays the main protagonist, Christopher Newman, who goes to Europe to enjoy his fortune and experience the world, as an innocent and good-natured American. By putting an American in European setting, James not only juxtaposes American and European culture but also tries to reflect the notion of identity. However, it raises questions, such as how identity is related to the representation of oneself in one’s social context and how identity is generated through differentiation with others. It seems that James exhibits the complex nature of identity through Newman in The American. This study, therefore, analyzes the evolution of identity of Christopher Newman by exploring his self-consciousness of being different from others. ----------------------------------------------------- マーガレット・アトウッドの『寝盗る女』における「共鳴」 塚田英博 (日本大学)  アトウッド(Margaret Atwood)の作品『寝盗る女』は、ズィーニアという女性に、恋人や夫を 寝取られたトニー、カリス、ロズが、ズィーニアについて語る作品である。彼女たちはズィーニアと 最初に接した時、その人柄も含め、彼女の話を信じる。しかし恋人や夫を寝取られて初めて、 姿を消してしまった彼女の話は嘘であったと気づく。その後、再び彼女たちの前にズィーニアが 現れる。ズィーニアは悪女だと思いながらも、心変わりをした恋人、夫の実情を知るため、 3人は自らの意志で彼女と会う。話を聞くうちに、あれほど嫌悪していた彼女の話を信じたい 衝動に駆られていく。3人が悪女ズィーニアの話を信じるに至った原因を解明するため、 彼女たちとズィーニアとの変転する関係性を分析する。そして3人の内面に潜む願望を 明らかにすると同時に非道徳的なズィーニアの行為と彼女たちの願望との連関を 指摘することで、ズィーニアの語りに「共鳴」してしまった心理を追究する。 ------------------------------------------------------ トクピジンのbelとlewaに見られる意味の棲み分け ―英語との言語接触による意味の拡張性― 黒澤 毅 (立教大学)  内臓の語彙が含む表現には、内臓に魂や精神が宿るという考えから、東西文化に共通して みられる人々の感情や魂と関係した精神的な意味が含まれている。これは、パプアニューギニアの トクピジン(Tok Pisin)においても同様に当てはまる。トクピジンは、オーストラリア英語を基礎とした 語彙、ドイツ語、パプアニューギニアの土着語が融合し、約100年以上前に形成された パプアニューギニアの国民語である。このような背景から、トクピジンで使用される内臓の語彙は、 既存の英語の意味を踏襲しつつも、その意味とパプアニューギニア人の文化的意識が相まって、 トクピジンの表現において内臓の語彙の使用領域が保たれている。本発表は、内臓を示す語彙を トクピジンに翻訳されたキリスト教関連の書物、パプアニューギニア人による詩集、新聞から抽出し、 その中でも英語から派生したbel(belly)とlewa(liver)の表現を二つの語彙が有する物理的側面、 精神的側面、文字通りの意味、比喩の4つの視点から意味の棲み分けについて論じる。 ------------------------------------------------------- 国際言語としての英語(EIL):日本人学習者の外国語学習の動機づけと自信の視点から 飯村文香(茨城大学)  将来の英語使用を目的とし、日本の英語教育では国際言語としての英語(English as an International Language(EIL))の概念を取り入れる必要性が高まっている。そこで、 予測がつかない現実の英語使用に対応する為に、多様な英語を授業に取り入れることの 重要性が提唱されている。学習者の英語の学習動機は様々であるが、英語の多様性への 気づきは、多様な英語が飛び交う中での会話を円滑にし、日本人が英語を使う自信に つながるとしている。第二言語習得において、自信は能力認知(perceived competence)と 不安の低さ(low levels of anxiety)の2つから構成され、それが外国語学習に影響する と考えられている。学習者の自信の向上を一つの目的とする場合、多様な英語の認知と 自信の関係を明らかにする必要がある。本発表は、その前段階として、多様な英語に 触れる機会がほとんど無い学習者を対象に質問紙調査を実施した結果から、学習者の 外国語学習の動機づけと自信の関係性を考察する。 ----------------------------------------------------- Humourの意味変化について ― ベン・ジョンソンを中心に ― 石川英司(日本大学)  現在humourという語は、「滑稽さ」や「おかしみ」を想起させるユーモアとしての意味の他に、 「気分」や「気質」また「体液」までも含んでいるが、最も多い用法としては「滑稽さ」等を示す ものである。ヒポクラテス(Hippocrates)の四体液説に基づく体液としてのhumourと、 ベン・ジョンソン(Ben Jonson)によるEvery Man in His Humour (1598)にみられる humourには意味の違いがみとめられる。一般的には、この意味の変化はベン・ジョンソンの 作品に依るところが大きいとされている。例えば黒胆汁過多の人間の気質が陰気で憂鬱気味 であるというような特徴付けを背景に滑稽さやおかしみを生み出していくことで、体液としての humourに「滑稽さ」や「おかしみ」を想起させている。本発表では、humourという語の意味の 変遷を探る上での初期段階として、ベン・ジョンソンによる作品の初期のものか らEvery Man in His Humour (1598)とその直後に発表されたEvery Man out of His Humour (1599) までの作品を通してhumourという語の用法がどのように変化しているのかを明らかにし、 またその理由について考察する。 ------------------------------------------------------- 看護師のナラティブ能力教育における英米文学作品の活用 佐野潤一郎(創価大学) 佐野敬子(甲南女子大学大学院)  近年の看護師教育では、患者を一個の人格として総合的に見るNBM(Narrative Based Medicine, 物語と対話に基づく医療)が導入されるに連れ、ナラティブ能力養成が大きな課題となってきている。 病を含めた患者の生活を、ナラティブを通して包括的に理解するためには、物語を読み解くという 文学的能力が要請される。本発表では、近年、次々に新設されている大学看護学部における 看護師教育の全体像と新傾向を踏まえた上で、看護師のナラティブ能力養成がどのように 位置づけられているかを検証する。また、ナラティブ能力養成について現在使われている 方法論を検討し、英語で発表された文学作品をナラティブ能力養成に活用する場合の利点と 課題を探り、ナラティブ能力養成に目標を定めた教科書のあり方を提案する。


大会担当理事 松谷明美 AkemiMatsuya(at)SES-online.jp


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